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アポなし訪問で林野庁へ!憧れを力に国際貢献の道を突き進む

卒業生の活躍

アポなし訪問で林野庁へ!憧れを力に国際貢献の道を突き進む

COP最多参加。世界の最前線から地球を守る

大好きな森林に埋もれ、そこに生きる人々とともに楽しい仕事をする機会にもたくさん恵まれたことは自分のエンジンになっていました。現場を少しご紹介したいと思います。

ニューギニア島
数十万ヘクタールに広がる、樹高30~40メートル、直径1メートル以上の鬱蒼としたマングローブ林のジャングルで、腰まで泥につかりながらの調査。

西ティモール、ケニア、モザンビーク(半乾燥地)
コミュニティや小学校を対象に、植林プログラムで貧困削減や復興支援のための事業を企画、実施。

ボルネオ島(最奥のダヤックの村)
村長の家に住まわせてもらってエコツーリズムの事業の調査。

ペルー(クスコの山奥)
現地の森林官にドローンを使って森林調査する方法の指導、研究プロジェクトの企画。

バリ島
バリ島ではエビ養殖池跡地へのマングローブ林再生技術開発と持続可能な森林経営モデルを作成。

現在ではマングローブ林が再生し、エコツーリズムを体験できます。
https://www.tripadvisor.jp/ShowUserReviews-g297700-d6280648-r578682148-Mangrove_Information_Centre-Sanur_Denpasar_Bali.html

貿易・関税交渉の担当をしていた時期には、WTO世界貿易機関の協定交渉の環境物品委員会の担当でジュネーブによく出張しました。アセアンと日本の経済連携協定交渉の農林水産品担当として外務省や経済産業省など他省庁と、相手国のそれぞれのエキスパートと信頼関係を築き、とことん議論して理解しあい、落としどころをみつけていく仕事をしていました。

一番長く関わってきた業務は気候変動枠組条約の関係です。締約国会合(COP)等にWFPに勤務していた2008年から組織を代表して参加し、2010年から2013年まではモザンビーク政府代表団、2014年から2015年までは林野庁の担当者として日本政府代表団としてパリ協定の条文交渉に取り組みました。

2017年はIRENAを代表し、2019年、2020年は森林総合研究所から、2022年から2024年はJICAでケニアに派遣されており、ケニア政府代表団としてCOPに参加してきました。COP参加回数は12回と農林水産省職員で最多記録を持っています。

パリ協定の交渉では日本政府を代表して先進国チームに属しながらも、モザンビーク政府代表団時代に途上国チームと強固な信頼関係を築いていたことから幅広いネットワークを駆使して交渉できたこと、唯一森林のみがパリ協定で5条に位置づけられたことは誇りに思っています。

今年(2025年)2月に帰国し、林野庁計画課海外林業協力室で、これまでパリ協定の交渉やそのガイドラインの作成に自分も関わってきた、森林減少・劣化を抑制することで温室効果ガス(GHG)の排出を抑え、また、植林や持続可能な森林経営を行うことで森林によるGHG吸収を高める活動によるカーボンクレジットを生み出す仕組みに関する、二国間協定(JCM)を通じた枠組みのガイドライン作成協議や森林・気候のリーダーズ・パートナーシップ(FCLP)などを担当しています。林野庁(https://www.rinya.maff.go.jp/index.html

2019年9月モザンビークで2012年に小学校に植えたカシュ―が校舎より大きくなった

ケニアの子どもたちから受け取った未来

憧れの植村直己さんが、1984年、世界初の冬季マッキンリー単独登山に出発する直前、ミネソタの冒険学校で生徒たちに残した言葉*5を、いつも思い出します。

この2月まで3年、JICAの森林プロジェクトでケニア勤務させていただいていた間に、4つの小学校で、学校給食・育林クラブ森林カーボン試行プロジェクトを実施し、毎月、子供たちに世界の森林や、環境、生態系の話など、子供たちに質問しながら、インスタント授業をしてきました。(活動紹介YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=G1LRh2liAYI

帰国直前、子供たち全員一人ひとりからのメッセージをつづったノートをもらいました。子供たちの3分の1は靴も履いていない、半乾燥地の貧困が厳しい地域で、彼らの優しさに号泣でした。

間もなく訪れる林野庁退職後のセカンドキャリアとしては、開発協力の人材育成に貢献しながら、ケニアのナイロビ大学ワンガリ・マータイ環境平和研究所と協力し、現地のNGO支援や、アフリカで生態系を活かす農業:アグロエコロジーで学校植林に取組み、旱魃や洪水のために飢餓に陥る脆弱な環境を克服し、豊かになる活動をしていきたいと思っています。

「個」を強くするメイジで青春時代を過ごせたこと、学生時代から変わらない仲間たちに、心から感謝しています。

*5 植村直己さん~中略~言葉:アウトドアカルチャーのニュースサイトA Kimama記事 https://www.a-kimama.com/tozan/2016/02/38346/

2024年ケニア半乾燥地の小学校で子供の身長の3倍に成長した木と豆

1989年
明治大学農学部農学科卒
井上 泰子

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